第2章 With Ray(レイ)
「これ以上色恋沙汰のせいで、任務が滞るのはゴメンですよ。」
パァンッ
エドガーの言葉に再び警戒を強めようと、シリウスがエドガーの首にあてがっていた剣を近づけようとした瞬間、エドガーの身体に閃光が走ってシリウスの身体が吹っ飛んだ。
「ぐあっ…!」
「おっさん....!?」
レイが驚いて其方を見ると、飛ばされたシリウスと大きな魔宝石を手にしたエドガーが視界に入った。
エドガーは何事もなかったようにヨナの方を見据えると、いつもの柔らかな表情を浮かべて言う。
「腑抜けになりましたねぇ、ヨナさん...」
口元は笑っていても目は笑っていないエドガーは、レイの視線に構わず続ける。
「お前は一体誰に向かってものを....」
「はいはい、その"赤のクイーン"が偉いっていうのはもう聞き飽きましたから、さっさとして下さい。出来ないなら俺が任務を完遂します。」
スッ
言って、サーベルを抜いたエドガーに、刹那、アリスの身の危険を咄嗟に感じたレイが、目を赤く光らしてエドガーの前に立ちはだかった。
「....何するつもりだ。」
「....そんな目したってダメですよ。この魔宝石は、あのランスロット様さえ何度か抑えることが出来る代物なんですから。」
レイの赤い瞳を見たエドガーは驚く様子もなく、いつもの微笑みを顔に浮かべると、ピタリと魔宝石をレイの身体にあてた。
瞬間、力が抜けたようにレイは地面に倒れた。