第2章 With Ray(レイ)
レイの低く厳しい声に、一瞬固まったヨナだったが、やがてその口からはプッと軽い嘲笑が漏れた。
「..."お前の"アリスだって?笑わせるな。アリスは俺のことが好きなんだよ。」
「.....だったらなんで眠らせる必要がある。」
「これには別の事情があるんだよ。」
ヨナは意識を失っているアリスを後ろからぎゅっと抱きしめると、自分のものとでもいう様に愛おしげに頬に口付けた。
瞬間、ドクンとレイの鼓動が鳴る。
「お前が入る隙なんてどこにもないよ。」
挑発する様にヨナがアリスに口付けたまま、レイを上目遣いで見つめる。
心臓が、痛い。
レイは、煮えたつ様な怒りと、鼓動が早くなるのを感じたが、握りしめた拳で考えもなくヨナに殴りかかるほど馬鹿でもない。
暫く沈黙して何も言い返さなかったレイは、軽く目を瞑って深呼吸をすると、黒のキングとしてなすべきことを考えた。
「御託はいいから早くして下さい。」
そこへ、レイとヨナの張り詰めた空気を掻っ切るようにエドガーの声が響いた。