第4章 With Luca(ルカ)

フゥ…と、セスがため息を吐き、自分の部屋に戻ろうと踵を返した瞬間…


「なーにが、『お祓い』だよ。ヒトをダシに使ってんじゃねー。」
「きゃあああああああ‼︎　フェンリル‼︎　いつからそこいたのよ⁉︎　本当にお化けが出たかと一瞬、焦っちゃったじゃない‼︎」


目の前に急に現れたフェンリルに、セスが悲鳴をあげるが、フェンリルは落ち着き払ったまま言った。



「なーんか、みんなの様子がおかしいなと思ってみたら、こんなことになってるなんてな。」
「な、何よ。もう全部お見通しってワケ？脳天気そうに見えて、意外に鋭いから困っちゃうわ。」
「脳天気は余計だ。…てか、今レイが部屋戻るとマズイんじゃね？」



腕を組んだフェンリルが、真剣な面持ちで言う。



「そうよ！そうなのよ！どうしてくれんのよっ！」
「俺に八つ当たるなよ。…兎に角、俺らは成り行きを見守るしかねーだろ。」



ハァと溜め息を一つ吐いて、フェンリルが言う。



「ったく、何してんだよ、お前らは…」