第2章 With Ray(レイ)
「そうでもないぜ?」
突然新たな声がして、皆の視線が声の主に集まった。
「ボス....!?」
シリウスの真横には、いつの間にかレイが立っていた。
「おっさん、これは一体どういう.............」
シリウスが質問する間も無く、レイの視線が動いて素早く状況を把握していた。視線は、やはりアリスのところでピタッと止まり、レイは言葉を紡ぎ損なう。
その様子を楽しそうに側で見ていたエドガーが、レイの思考を補足するように言う。
「...見ての通り、うちの赤のクイーンが"ヤっちゃった"んです。」
「!? エドガー!?」
「でもまだ"殺っちゃって"ないんで、良かったですね。」
火に油を注ぐ様に、エドガーが微笑みかけた。ヨナが抗議してみるが、そんな言葉はレイの耳には届かず、レイは瞳孔の開いた瞳で、ただ茫然とエドガーを見つめている。
「ボス...?」
レイの様子に、シリウスまで心配になって声をかけるが、静かな怒りを湛えた緑の瞳は、今度は真っ直ぐヨナを捉えた。
「お前、俺のアリスになにやってんの?」