第2章 With Ray(レイ)
「出たね、花咲か野郎。お前も出払ってると思ったけど、念の為に警戒しておいて良かったよ。」
構えていたサーベルで、ドアが荒々しく破壊された衝撃で吹っ飛んで来た瓦礫から身を守ったヨナは、さして驚きもせず、突入してきたシリウスを睨んだ。
「.....ハーブに水遣りするのを忘れて、兵舎に戻って来てみれば赤のジャックがいてビックリじゃねぇか。クイーンの方はアリスを眠らせて蹂躙か?男の風上にもおけねぇ奴だな。」
素早く部屋を見回したシリウスは、ベッドの上に意識なく横たわるアリスで視線を止めて、全てを察したように言った。
「蹂躙だって?失礼しちゃうね、アリスだって俺に触られて喜んでたんだから。」
シリウスの言い草に一瞬腹を立てたヨナだったが、サーベルを握り直すと殊更得意気に言ってみせた。シリウスがヨナの発言に驚いたように眉を吊り上げた瞬間....
「楽しめました、ヨナさん?」
穏やかな声がして、エドガーが壊れたドアの跡から顔を出した。