第2章 With Ray(レイ)
しばらく、返答を待つように切な気にアリスを見ていたヨナだったが、急に何かに気がついたように目を細めると、言った。
「......すごく残念だけど、時間がきたみたいだ。」
「?」
ヨナの態度も、ヨナの行動も、ヨナの言葉の意味も、何一つとして説明がなされないまま、アリスは困惑していた。
しかし、ヨナはさっきまでの態度は何処へやら、アリスの乱れたスカートを整えて、ささっとブラウスのボタンを元どおりに閉めると、襟元まで綺麗に正した。
「ヨナ.....一体何を...」
「最期は綺麗な姿で逝ってほしい。」
そう言って、ヨナの目をアリスが見つめた刹那、分厚い布で口と鼻が覆われ、あっという間に意識が遠のいた。