第2章 With Ray(レイ)
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「ずっと気になってたんだけど...」
エドガーと共に馬を止め、黒の兵舎の裏門の近くの茂みに隠れたヨナが、怪訝な顔をして突然呟いた。
「どうしました?」
「俺の問題なのに、何でお前がそんな一生懸命なのさ?」
ヨナの質問に、何度か目をパチクリさせて驚いた様を見せたエドガーは、やがていつもの微笑を口元に浮かべて答える。
「俺がヨナさんのことを想っているとおかしいですか?」
「おかしいねっ!一体何が狙いなんだよ。」
ヨナの厳しい問い詰めに、エドガーは参ったとばかりに肩をすくめてみせた。
「俺はこれでも我が主、赤の軍のことを考えて行動してるんです。ヨナさん一人では心許ないと思いまして。」
「俺を舐めないでくれる?一人で出来る。」
「ヨナさんの剣の腕を疑っているんではありませんよ?心理的な面で心許ないと言っているんです。なんせ相手はあのアリスですから。」
突如出てきたアリスの名前に、ヨナの肩がビクンと動く。