第2章 With Ray(レイ)
「.... お前も休めよ。今日はもう疲れただろ?」
一呼吸おいて話す、微笑するレイの表情は、いつもの優しいものだった。
その姿に戸惑いつつ、アリスは言葉を紡ぐ。
「...レイ、私に用事はなんだったの?」
「何でもない。...呼び止めて悪かった。」
「....嘘。...ちゃんと言ってよ。」
拗ねたように上目遣いでレイを見つめるアリスに、レイの心臓はどくりと脈打ち、今すぐ強く抱きしめたい思いに駆られた。
そんな顔、すんなよ。
かき集めた理性で、一度はアリスを部屋から逃がそうと考えたレイだったが、もう限界だ。アリスの肌けた胸元に目がいって、頭の奥でカチッとスイッチが入る音がする。
レイは、視線を落とすと静かに言った。
「....なんなわけ、お前は」
「...え?」
「そんな顔して俺を見て.....何されても後悔すんなよ。」