第2章 With Ray(レイ)
ガーデンにその風が吹いて、静かに薔薇の花を揺らす。
「黒の軍は、満月が来てもアリスを元の世界に返さないつもりかもしれません。」
「...」
「アリスにとって幸せって何でしょう?死ぬまでクレイドルの戦いに利用されることでしょうか?...所詮、科学の国から来た彼女のここでの居場所なんてありません。」
「....何が言いたい」
怪訝な顔をするヨナに、エドガーはフッと優しい笑み浮かべた。
「黒の軍が満月の夜にアリスを送り返すという保証がない限り、アリスにとって早めに死ぬのが一番いいことだと言っているんです。」
瞬間、目にも留まらぬ速さでヨナがサーベルを引き抜き、エドガーの首筋に当てた。
「それ以上言ってみろ、お前の首を切り落とす。」
ヨナの美しい瞳が怒りで燃えていた。