第2章 With Ray(レイ)
「相棒!」
アリスから、テーブルを跨いで離れた位置に座っていた黒のメンバーは、どうしても対応が遅れてしまう。レイは大丈夫だとばかりにフェンリルに軽くウインクして見せる。
「...任せたぜ、相棒!」
フェンリルもそれを信じたようで、襲いくる目の前の赤の軍に応戦した。
そしてレイはグッとアリスを自分に引き寄せた。
その様子を見たヨナは露骨な嫌悪感を露わにする。そして、吐き捨てた。
「君ね....っ」
「何?お前のモンじゃないだろ?」
レイが挑発すると、ヨナは一瞬怒りで目が光ったものの、次の瞬間には不安そうに目が泳ぎ、その視線がキッとアリスを捉えた。
「アリス......っ君は俺と一緒に来るんだよっ!」
「ヨナ...」
「さっきランスロット様が仰ったように、君の身の安全は保証されるし、俺がいる限り赤の兵舎にいて君に嫌な思いはさせない、だからっ」
心が揺れているアリスの様子に気がついたレイは、さらにアリスの肩を強く抱いた。
「レイ...!?」
「させない。こいつは俺のものだ。」
レイがきっぱり言うと、ヨナは打ちのめされたように目を大きく見開いた。