第2章 With Ray(レイ)
アリスを取られたヨナは一瞬、その美しい顔を苦痛で歪めたが、すぐに気を取り直してランスロットの方に向き直った。
ランスロットは感情の読めない顔で、無機質に話し出す。
「....国を動かす軍の幹部が....、事もあろうに片方はキングだが、一人の娘に籠絡されている....。なんという可笑しな話だろうな。」
「ランスロット様、私はっ...」
「ヨナよ。反逆者となったお前に、最後のチャンスを与えよう。アリスを捕えろ。成功すれば、赤の軍に背いたことを罪には問わん。」
指名されたヨナはハッと息を呑むが、やがて決心したように言う。
「....っわかりました。ですが、一つ約束させて下さい!」
「この状況で俺に条件を突きつけるつもりか?...まぁいい、何だ?」
「アリスの安全は保証されますか?」
「約束しよう。ただし、アリスは今後赤の軍の監視下に置くことにし、勝手な行動は禁じる。また『イタズラ』をされても困るからな。」
「...ありがとうございます。」