第2章 With Ray(レイ)
「ボス...!」
「大丈夫だ。」
遠くにいて応戦できないシリウスの声が届いたが、レイは動じるでもなく答えると、視線をゆっくりヨナに移した。
長い睫毛の奥で光る琥珀色の瞳は、確かな敵意で揺れている。
「お礼はもう言ったし、アリスをそろそろ離しなよ。」
「....本当に籠絡されてんだな。」
「君こそ。」
レイの呟きを否定するでもなく、ヨナは不敵な笑みを浮かべては刃をレイの首に近づける。
「ヨナ、やめ...っ」
「アリスは黙ってなよ」
それを見ていたアリスが割って入るが、ヨナがピシャリと言う。
やがて押し付けられた刃がレイの薄い皮膚を切って、真紅の血が流れ出し、両軍の誰もが息を呑んだ時....
「勝手に話を進めるのをやめろ。」
ランスロットの声がガーデンに響いた。