第2章 With Ray(レイ)
レイの言葉に口元を緩めたランスロットは静かに言う。
「ほう?俺は今、赤の軍の利益を考えてアリス狩りを提案した訳ではない。アリスはクレイドルにとっての危険因子...。国民の安全を第一に考えるのは、両軍にとっての義務だと考えていたが?」
不遜な笑みを湛えるランスロットに、レイの決断は変わらない。
「...それでも、こんなになったアリスを見捨てられない。其方がアリス狩りを断行するつもりなら、黒の軍は全力でアリスを守る。」
徐に黒の軍の幹部に目をやったランスロットは、再びレイと視線を合わす。
「....成る程。幹部達はどの様な決断でもお前の判断に従う所存のようだ。よく懐いているな。....だが、その他の黒の軍、黒の領地に住む者の意見はどうだろうな?」
クックッと低く喉を鳴らすランスロットの瞳がキラリと光る。