第2章 With Ray(レイ)
カップルの姿を目で追うフェンリルを、レイは引っ張った。
「...っ...相棒?」
「行くぞ。俺たちはおっさんに頼まれた買い物もあるだろ。」
「あれは別に急ぎってわけでもねーし、......それにいいのかよ、相棒?」
不満気に答えるフェンリルに、レイは精一杯感情を隠してポーカーフェイスを装う。
「何が」
「...相棒、もしかしたらあの二人は俺たちが思っているよりずっと...先の方まで行ってんじゃねーか?」
胸の奥で、何かを熱いものが滾るのをレイは感じたが、声の調子は変えずに飄々と答えた。
「かもな。でも前にもお前に言ったように、アイツがここを去る前に自分の気持ちくらいは伝えるつもり。」
「......相棒がそれでいいってんなら、俺はもう何も言わねーけど。」
フェンリルは納得がいかないようだったが、友を尊重して、その後はその話を控えた。