第2章 With Ray(レイ)
とはいえ、いつも兄の話にはダンマリのルカだと知っている黒のメンバーは特に追求もしない。
「まぁ、兎に角、アリスちゃんはそんなに簡単に籠絡なんてされたりしないから、ボスがガンガンいったらいいのよ。んもう、ホントに焦れったいんだから。」
「....」
「それに、向こうだってただの任務でやってるんだし?お互いに軍の策略なんだから心配することなんてないのよ。あの美意識高いの、どうせアリスちゃんのこと道具だとしか見てないんだから。」
「...違う。」
このまま、自室に戻るまでルカが無言を通すものだと思っていたセスは、突然のルカの呟きに驚いて振り返る。
「...違う?」
「違う。アイツ....あの時の目...本気だ。」
きっぱりと言うルカは、何かを思い出しているように、遠くを見つめている。
ルカの発言に、眉を顰めたセスが尋ねる。