第2章 With Ray(レイ)
一方、セスとルカは二人で自室に帰る途中であった。
無理矢理部屋を追い出されたセスは、不服そうにツンと口を尖らせて愚痴る。
「ボスはあんなツンツンしないで、たまにはアタシ達のアドバイスを聞いたら良いのよ!アリスが好きならもう時間がないんだから、積極的に行くしかないってのにね!」
「....」
「デートコースならアタシに任せてくれれば完璧なコース組んであげるのに!この女心を知り尽くしたアタシが!実際、あの気にくわない赤のクイーンだって、2回目のデート、つまりアタシの考えたデートコースは気に入ってたってアリスちゃんも言ってたしね!」
「.....」
ふと、実の兄に対しての言葉が過ぎたかと、さっきから黙しているルカにセスが目をやると、意外にも廊下の遠くのあたりをぼうっと見つめているだけだった。
「あら、どうかした?」
「....ううん、大丈夫。」
微笑して返すルカに、セスは僅かに訝しがる。