第4章 With Luca(ルカ)
一方、執務室ではーーーー
「…って、聞いてんのか、レイ。」
「ん…」
まどろみかけたレイの頭が、何度か垂れかけたところを、シリウスがコツンと叩く。
「眠…」
「あとちょっとだ、ボス。取り敢えず、最後まで俺の報告を…」
「てかそれ、今日じゃなきゃダメなこと?」
痛いところを突かれて、シリウスは思わずドキッとしたが、ポーカーフェイスで難なく誤魔化す。
「いつ開戦してもおかしくない緊張状態だ。赤軍の動きは少しでも、キングの耳に早く入れておくのがいいだろ?」
「…わかるけど、さっきからくだらないのばっか。」
最初こそ、重要な報告もあったものの、時間稼ぎをするうちにどうでもいい情報ばかりになってしまう。
シリウスは気まずさに咳払いをして、答えた。
「まぁ…、一応だな、キングとしてどんな小さなことでも頭に…」
「寝る。」
シリウスの言葉を遮って、レイが席を立つのを、慌ててシリウスが呼び止める。
「レイ!」
「明日聴くって。」
ヒラヒラと手を振って、レイはそのまま部屋を出てしまった。
パタン、と扉の閉まる音がした後、椅子に深く腰掛け直したシリウスが、天井に向かって独り呟いた。
「…俺は限界まで頑張ったからな、ルカ。修羅場になっても責任持てねーぞ…。」