第4章 With Luca(ルカ)
アリスは逃げようと思えば、逃げれるはずだ。しかし、アリスはルカの胸を押し返したりせず、黙ってルカを見つめていた。
(…あなたの沈黙を、イエスととったよ。)
心の中で小さく呟いて、ルカはアリスをソファの上に押し倒した。
「ルカ…?」
「もう…遅いよ。」
ルカの頭の端で制止する声を無視して、ルカはアリスに口付けた。
「な…」
「好きだよ、あなたのことが。」
アリスの唇から、ルカの唇が離れて目と目が合う。ルカは今、自分でも、どのくらい赤面しているのかは定かではないが、胸に痞えていた言葉は何故かさらりと口から飛び出した。
「…」
アリスは、否定も拒否もせず、目をただパチクリさせていた。
(…なんなの、その反応…。どっちだとしても、俺は)
「レイに、渡したくないよ。」
本音がポロリと、こぼれ落ちた。