第4章 With Luca(ルカ)
(セスの....バカ。)
セスに、中途半端に外されたアリスのブラウスのボタンが、至近距離でルカの眼下に入る。
「ルカ...?」
思わず目を背けたルカに、アリスが不思議そうに問いかける。
(あんなの、見せられたら....)
ルカの脳裏に、先程までセスがアリスにしていた行為が過ぎる。
パウンドケーキを勧めてみたものの、アリスの方が美味しそうだなんて感じても、にわかに言えない。
アリスの瞳を見つめるうちに、ルカの気持ちは高ぶって、不意にアリスの髪に触れた。
「!?」
以前に触れた時のように、アリスはビクッとして瞬時に体をルカから離そうとしたが、今度は逃すまいとアリスの腰をしっかり掴んだ。
「ル…」
「逃がさない…今度は。」
ルカの心臓はドキドキしていたのに、頭は妙に落ち着いていた。もしかしたら、自分の腕の中にいるアリスが、動けずにいや、動かずにルカの瞳をじっと見つめていたからかもしれない。