第4章 With Luca(ルカ)
「.....じゃあ、お邪魔虫のアタシは退散するわ☆」
アリスに親身になって寄り添うルカを見て、軽くセスが言う。
「機会を作ったこと、感謝しなさいよー?」
「ま、ちょっ、セス...」
「それじゃ、ごゆっくり。」
セスがいなくなると、アリスと二人っきりになってしまう、と慌てたルカを、セスはニヤニヤしながら撒いて、ドアをパタンと閉めた。
「......」
嵐のようなセスが去った後、部屋はシーンとして、沈黙が包んだ。
「え、えーと...」
気まずさに、ルカが咳払いして話し始めた。
「俺の作った、パウンドケーキでも...食べる?」
「...これ、セスさんが作ったんじゃないの?」
「...そうとも言う。」
会話の話題に困ったルカが、なんとなしに目の前のパウンドケーキを勧めてみるものの、物の見事に突っ込まれてしまう。
やや不審そうに眉を顰めたアリスが、ルカを見つめた。
「ルカ...そもそもどうしてここに」
「細かいことは、いいから。」
質問したアリスを遮って、ルカが言う。折角、アリスとこんな風に二人で話すチャンスが訪れたのだ。ルカはそれを逃したくはなかった。
(どうして俺がここにいるかなんて、聞かないでよ。....そんなの決まってるじゃないか。)
アリスのつぶらな大きな瞳を見つめて、ルカは想った。