第4章 With Luca(ルカ)
「....あーん、もうおっそいわよー!」
さっきまで、完全に雄の顔をしていたセスが、いつものオネエの笑顔を顔に貼り付けて明るく答えた。
「ルカ....?」
「...大丈夫?」
肩で息をするルカが、心配そうにアリスに歩み寄る。なぜここにルカがいるのだろう、という質問を飲み込んで、アリスはただただアリスを見上げた。
「セス!!」
「そんな怒んないで頂戴よー」
まだ、アリスに半分覆いかぶさろうとしていた姿勢のセスを、ルカが非難がましい目で見ると、セスは観念したように手をあげながら茶化した。
心底残念そうに、セスがその場を退くと、ルカは構わず床に跪いて、ソファに座るアリスに視線を合わせる。
「ごめん....」
「な、なんでルカが謝るの?」
頬を赤らめて言うルカの瞳は、とても真摯だった。しかし、謝罪の意味がわからないアリスが尋ねると、ルカは気まずそうに目を逸らした。
「セスが貴方に、変なことしたから...」
「見、見てたの!?」
「少しだけ....」
バツが悪そうに、ルカがおずおずと言う。