第4章 With Luca(ルカ)
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自室にやっとの想いで戻ったルカは、部屋に入るなり、ドアを背にズルズルと膝を抱えて座り込んだ。
「…心臓が破裂するかと思った。」
しんと静まり返った夜の闇に、ルカが独りごちる。部屋は暗くて、1メートル先さえもよく見えない。
ルカの心臓はまだバクバク音を立てていた。突然足音がして、レイがアリスの部屋に入ってきたから…勿論、それもあるけど。
「唇…濡れてた。」
アリスの潤った、形のいい唇を思い出して、ルカは自身の唇をなぞった。それだけで、また心臓が制御不能に早くなってしまう。
ルカは赤面した顔で、ぼうっと部屋の暗闇を見つめた。
(なんだろう…違和感が…)
そして、ルカが訝しがって、目を細めた瞬間だった。
「オネエさん、ちょっと残念だわ。」
「え?」
聞き慣れた声。一気に胸に嫌な感じが広がったと思うと、部屋の明かりがパッと点けられた。