第4章 With Luca(ルカ)
「ル...カ?」
僅かに上気した、ルカの顔がアリスに近づく。
「…」
ルカは黙ったまま、顔を傾けた。唇が触れてしまいそうな距離だ。
咄嗟に、アリスが顔を背けようとした時、ルカの方が跳ねるようにアリスから離れた。
「…?」
何が起きたかわからず、恐る恐るルカの方を見ると、ルカよりルカの背後に立つ影にすぐに目がいった。
「レイ…?」
いつの間にやら、部屋のドアは開け放たれ、そこにはレイが立っていた。状況を理解し損ねたレイが、ルカとアリスを交互に見遣る。
ルカが素早く#アリス#から離れたため、ルカとアリスの距離は不自然に近いというわけではない。机の上に広げられた資料からして、軍に関わる用事だったことも明らかだ。
しかし、顔を真っ赤にして、床を見つめるルカと、何か焦ったように言いあぐねているアリスに、レイの顔は不審そうに歪んだ。