第4章 With Luca(ルカ)
(君を狙ってるのは、レイだけじゃないんだよ。)
ルカの頭の後ろの方で、声が聞こえた。
ルカが壁にかかった時計を見ると、この部屋に来てから意外に時が経っていた。
(シリウスは、レイを用事に呼ぶのに小一時間ほどって言ってた...)
およそ45分は経過したと見られる今、チャンスがあるとしたら...今だ。
(奪っちゃっても、いいかな。)
またルカの頭の後ろの方で、悪戯な声がした。
「ねぇねぇ、結局どこなの?私は隊列のどこにいればいいの?」
「.......」
(もうレイに悪いとか、そんなこと、言ってられない。)
アリスが無防備に近づいて来たのをいい事に、ルカはその腰をグッと引き寄せた。
「!?」
「ここ。」
突然のルカの行動に、目を見開いてアリスがルカに振り向いた。
ルカはその瞳をまっすぐ見つめ返した。
「ここ。俺の隣。」
ルカの琥珀色の瞳は、驚くアリスの目を捉えていたが、その指は机上の資料にある構図の、ルカの隣を指していた。