第4章 With Luca(ルカ)
(近い…)
説明を始めて数分、ルカは理性との戦いと言う名の、拷問に耐えていた。
机の上に広げられた資料を覗き込もうと、身をルカの方へ傾けるアリスは、まさに目と鼻の先だ。
心臓が煩くバクバクと鳴って、アリスの甘い香りに酔いそうになるのを、ルカは必死に堪えながら話を進める。
「…あなたが隊列のここにいたんじゃ、いざという時、俺たちが誰も守れないから…」
「…どこ?」
隊列の図をルカが指さすと、それをよく見ようと、アリスがさらにグイとルカに近づく。
(近い…っ)
ルカが思わず身を反らして避けると、それに気がついたアリスが少し焦って言う。
「っゴメンっ!」
「…いいよ。」
むしろ大歓迎。…と、一瞬考えてしまったことに、ルカは自分で驚いた。
(俺は一体何を考えて…)
自分で自分に恥ずかしくなって、ルカが頭を振って気を取りなおそうとはかると、不意に、先ほど前のめりになったことで露わになった、アリスの胸の谷間に目がいった。