第4章 With Luca(ルカ)
『元来はボスが伝えるべきもんだけどな。』
ルカが、シリウスに談話室で渡されたものは、1枚の書類だった。
『…これは?』
『進軍する時の、隊列の変更と非常時の振る舞いについて書かれてる。お嬢ちゃんには、ルカが部屋に行って説明してやればいい。』
『これで、アリスちゃんの部屋に訪ねる口実ができたってわけね。』
『そうだ。悪いが俺が肩入れできるのはここまでだ。あとは自分で頑張れ。セスはルカの邪魔すんるんじゃないぞ。』
口を尖らすセスに、シリウスが忠告した。
(アリスに会う口実まで作ってもらっちゃったけど…どうすればいいんだろう、俺。)
セスによって、綺麗にデコレーションされたアリスの部屋は、しばらくアリスが過ごしたせいで独特の雰囲気と、甘い匂いがする。
(アリスの…いい香りがする。)
鼻をアリスの香りがくすぐって、また意図せず鼓動が早くなる心臓を、ルカは抑えようと奮闘していた。
「それで、話って?」
アリスの一言で我に返ったルカは、その無垢な瞳と自分のものが合致した。