第4章 With Luca(ルカ)
コンコン…
意を決したルカが、アリスの部屋の扉をノックした。中からトタトタと足音が聴こえ、カチャリとドアが開いた。
「誰…ってあれ、ルカ?」
「こ…こんばんは。」
アリスが扉の後ろから顔を出し、その意外に近い距離にルカは思わず目を逸らした。
逸らした視線の先には、物陰に隠れたつもりで隠れきれていないセスの姿が見える。
「何か、用?」
「えっと…」
アリスが上目遣いにルカを見つめる様子に、ルカの胸がキュンと締め付けられた。
「ちょっと、あなたに話しておきたいことがあって…」
「話しておきたいこと?」
「うん。…部屋、入っていい?」
最後の言葉を絞り出すのに、ルカがどれだけ苦悩したか、アリスは知らない。恥ずかしさとじれったさで重苦しい数秒間を経て、アリスが頷いた。
「ちょっと、散らかってるけど…」
アリスがドアを大きく開けて、ルカを招き入れる。アリスの全体像が見えて、顕になったフワフワのネグリジェ姿に、また息を飲んだルカは一瞬目を逸らした。
(直視できない…っ)
それでも乗り掛かった船。必死に自分を落ち着かせたルカは、アリスの部屋に一歩入った。