第4章 With Luca(ルカ)
「え…?」
シリウスの言葉をいまいち飲み込めなかったルカが、キョトンとして聞き返した。
シリウスは、そのまま表情も声色も変えないまま、ルカを見据えて答えた。
「だから、取っちまえよ、アリス。」
「えっ?」
「ヤダ、何よ、シリウス!らしくないこと言わないでちょーだい!」
セスが声を上げると、シリウスはフゥとため息を漏らした。
「別に悩んだからと言って、状況がルカにとって好転するわけでもない。だったら行動しちまえ。」
「行動って何よ、まさか、寝込みを襲うとか?」
セスの一言に、ルカが赤面して振り返った。シリウスはその提案に顎を摩って考え込む。
「…まぁ、そのくらいの強硬手段取らねーと、無理だろうな。」
「あらやだ、今のは冗談よっ!?」
セスが慌てて言うのをよそに、シリウスがルカと目線を合わせる。
「まぁ、決めるのはお前だ。ただ、時間が経てば、もうどうしようもなくなるだろうから、さっさと決断しな。」
「シリウスが、悪事の片棒担ぐなんで意外だわっ!」
「別に悪事ではねーだろ。後輩のために一肌脱いでやってるだけだ。」
「レイのことは…いいの?」
まだ不安そうなルカに、シリウスはポンとその頭に大きな手を置いた。
「どっちかを決めるのはアリスだ。レイじゃない。」
シリウスに強く押されて、ルカは気持ちが軽くなるのを感じた。