第1章 With Jonah(ヨナ) Act1
重力がかかる方向が一気に変わったと思ったら、背中に柔らかい布が触れて、気がつくとヨナを見上げていた。
一瞬でポジションを入れ替えたヨナの瞳は真剣で潤んでいる。頬も真っ赤だ。そして、苦しそうに促す。
「....それで、俺にどうして欲しいって?」
「....っヨナの意地悪!」
言えば、ヨナの方が辛そうに顔をしかめた。
「ヨナ...?」
「...ほら、ケダモノの俺の方が苦しいんだから、アリスはそのくらいちゃんと言いなよ。」
真っ赤になって悔しそうに吐くヨナは何故だか泣きそうに見える。突然、愛おしさに駆られて、その頬を優しく撫でた。
「ヨナはケダモノじゃないよ。」
「ケダモノだよ。毎日のように君を求めて、狂ったように君を愛して、馬鹿みたいに舞い上がる。これがケダモノでなくしてなんだって言うんだ。...君はそこまで俺を求めてないかもしれないのに...」
自嘲気味に目を伏せたヨナは何処か寂し気で、堪らず、喉のところで使えていたものがスルリと滑り落ちてきた。
「ヨナで私を貫いてよ。」