第2章 With Ray(レイ)
その場を去ろうとするヨナの背中に、レイが言った。
「ありがとう…赤のクイーン。」
「…っ」
ヨナは何か言いたげだったが、そのまま振り返らずに、立ち去った。
ーーーそれから数日後。
その後の事の運びを、直接伝えたいということで、アリスはヨナに黒の橋のところに呼び出された。
「全く、庶民の君と黒のキングはお似合いだね。」
開口一番、不遜な態度で言うヨナに、アリスは思わず呆気に取られた。しかし、ヨナらしいその態度に、安堵の気持ちが胸に広がる。
「ヨナ…良かった。もう大丈夫なんだね。」
「大丈夫? 何が? 大丈夫も何も俺は元々何も気に病んじゃいないよ。そもそも俺が君を好きだなんてどうかしてた。」
自分に言い聞かすように、早口に言うヨナは、やはり嘘が下手だ。懐かしい気持ちになって笑いが溢れる。
「…それで、どう?その後の赤の軍は…」
「ああ、その話なんだけど…」
ヨナは視線を落として言った。