第2章 With Ray(レイ)
そう言って微笑んだレイの顔はとても優しかった。
ヒューと口笛の音が鳴って、シリウスがキッとフェンリルの方を睨むと、フェンリルは冷やかし自重した。
レイの告白を黙って聞いていたヨナが言う。
「…で、どうするの?君は。」
「わ、私は…っ」
返答に困って、アリスがレイとヨナを交互に見るが、二人ともアリスに委ねてそれ以上は何も言おうとしない。
見かねたシリウスが、助け舟を出すように口を開いた。
「…どちらも選ばず、科学の国に帰るって選択肢もあるぞ。」
シリウスの言葉にアリスの心がドクンと鳴る。
レイの言う通り、もう満月の日が近い。
アリスは、レイかヨナか。選ぶだけでなく、ここに残るか去るかも決めなくてはならない。