第2章 With Ray(レイ)
「おいっ…なんでそっちに行く⁉︎」
シリウスの叫びも虚しく、アリスはヨナにタックルした。
「…っ⁉︎」
「やめてっ!ヨナっ!」
体当たりを食らったヨナが、困惑しつつアリスを見ると、真剣な眼差しがそこにあった。
予想の斜め上をいくアリスの行動に、調子を狂わされるヨナだったが、再び冷静になると、眉根を寄せてアリスを見下ろした。
「…君は何…?バカなの?」
「そうかもしれない。でも、私はヨナはそんなことしないって信じてる!」
「……っ」
真っ直ぐなアリスの言葉に、ヨナは返す言葉が見つからない。
そしてゆっくりと、ヨナは魔宝石を持った手を下ろした。
「降参だよ…」
「ヨナ…っ」
「…俺は赤のクイーン失格だ…」
ヨナは目を伏せると、視界の端でちらとエドガーの方を見た。