第2章 With Ray(レイ)
「おいおいおい、こりゃ一体どういう状況だ…っ!?」
「フェンリルっ‼︎」
部屋に新たに乱入してきたのはフェンリルだ。
急展開に、ヨナが一瞬気を取られた隙に、シリウスが渾身の力を振り絞って、アリスをヨナから奪った。
「フェンリル、ありがとう。…助かった。」
辺りを見回して、状況を理解し損ねているフェンリルに、床に倒れたレイが礼を言うと、フェンリルは目を丸くして驚いた。
「…ボロボロじゃねぇか、相棒。一体何があった?」
「話すと長くなる…」
フェンリルに肩を支えられて、起き上がったレイは苦しそうに呟いた。
一方、アリスを取られて立ち尽くしていたヨナは、悔しそうに顔を歪めた。
「この期に及んでお前ら黒の軍は、俺の計画を邪魔する気…っ?」
「諦めろ。」
シリウスが冷たく言い放つと、ヨナは懐から魔宝石を取り出した。
「何を…」
「…エドガーのほどじゃないけど、お前ら一纏めにあの世に送る力はあるよ。」
言って、魔宝石をかざしたヨナに、アリスが駆け寄った。