第2章 With Ray(レイ)
「おい......っ」
それを見たレイの表情は、焦りが見受けられる。
「黒のキング、俺はお前の命令は聞かないよ。俺は赤のクイーン、ランスロット様の右腕だ。」
「......」
はっきり言い切ったヨナの顔は凛々しい。アリスはすぐ自分の真後ろに立つ、ヨナの心音が聞こえたが、乱れている様子はない。
アリスは、不思議な気分に包まれていた。ヨナのサーベルはアリスに向けられ、いまにも貫かれそうだというのに、妙に安堵していたのだ。
もしかして、後ろにヨナがいるせいかな....でもそれって説明になってない。そんな考えが、頭をよぎった瞬間だった。
「アリス、俺は君を愛してる。」
「......っ」
突然降りかかったヨナの愛の告白に、アリスの心臓が大きく跳ねた。