第2章 With Ray(レイ)
「レイ!?」
「ボス!!」
「......っ」
魔力を使い過ぎた反動で、レイは立つことすらままならない。
「お前っ.....」
「ヨナさんっ!」
レイが怒りでキッとエドガーを睨むと、エドガーはヨナに向かって叫んだ。
「何だ....!?」
今や、口から夥しい量の血を吐いているエドガーが、最期の力を振り絞っている。
「アリスを殺して下さい!」
「!?」
「今ならまだ間に合う....! 黒のキングの目的はアリスですから、目的を失えば....がっ」
聞き捨てならないとばかりに怒ったレイに、脇腹を強く蹴られたエドガーが床を転がった。
「エドガー!」
「お前、喋りすぎなんだよ。」
ヨナは今すぐエドガーに駆け寄りたい衝動に駆られたが、腕にアリスがいるため、其処を離れることが出来ない。
「エドガー、おい、死ぬなよっ!」
「....ヨナさん、俺は赤のクイーンである貴方の、そのなりふり構わないランスロット様への忠誠心が好きでした。だから最後のお願いです、どうか....ぐっ」
「喋るなって言ってるだろ。」
エドガーの腹に更に一発入れたレイが、凍りつくような瞳で言った。