第2章 With Ray(レイ)
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倒れたレイを見つめるエドガーは、終わったという顔はしておらず、何かを待っているかのように大人しい。
そこから少し離れた場所で、レイの元に駆け寄ろうともがくアリスに、一本取られた、とでもいうようにヨナは溜息をつくと、突っ伏したレイを一瞥して言った。
「おい、黒のキング。さっきの威勢の良さはどうした?」
「......」
レイからの返答はない。その様子に不安に駆られたアリスが呼びかける。
「レイ....! 起きて!」
「.......!」
アリスの言葉に、レイがピクリと動く。
呆れたような顔をしたヨナが続けた。
「倒れたフリしたって無駄だよ。黒のキング、お前はまだ魔法を使ってないだろ?」
「.....」
「アリスを守りたいんだろう?」
レイは何も答えなかったが、顔が見えない状態でも何か、らしからぬオーラが放たれているのをアリスは感じて身構えた。