第5章 親友
課題が終わる頃には親友と呼べる中になっていた。
呼び名も桜、千春と呼び捨てに変わっていた。
学園では毎日カフェテリアでお昼を一緒に食べたし、お互いの家で課題をするときもあった。
放課後一緒にお買い物に出かけるときもあった。
今日もいつものようにカフェテリアでお昼を食べていたときだった。
千春がいきなり
「桜の夢ってなに?」と言ってきた。
「いきなりどうしたの?」と聞き返した私だったが、千春はこう答えた。
「昨日ね、お父様が千春にはお見合いをしてもらうって言われたの。」
千春には副社長の兄がいて、大学を卒業した姉はアメリカとフランス、中国の留学経験から何ヶ国語も話せて、それを活かし、森川グループの1番格上のホテルの受付嬢として家業に携わっていた。
姉の結婚相手は森川の婿養子となったが、恋愛結婚をさせてもらっていたから、当然千春も家業に携われて好きな相手と結婚させてもらえると思ってた。
しかし、この不景気で少し業績が悪化した森川グループは、出資をしてもらいたい相手との取引があまり上手く行かず、親戚になれば考えなくもないと言われた千春の父は、千春のお見合い話を進めたのだった。