第6章 お見合い話
実は一ノ瀬グループはここの所業績が好調ではなかった。
桜たちの両親が亡くなった事故から、桜の兄の大樹と重役達、もちろん桜の祖父の正大も必死になって会社を立て直した。
しかし、今年に入って重役達の世代交代や景気の悪化によって、また一ノ瀬グループは危機を向かえていた。
そんな時だった。
木之本財閥が、旅館事業の新しい取り組みとして、料理を売りとする旅館を展開するというプロジェクトが進んでおり、どこの料亭と手を組むか探しているという話を耳にした。
何としてもうちと手を組んで欲しいと思う正大は政略結婚という言葉が頭に浮かんだ。
長男の晴人との結婚話を進め、手を組んでもらえないかと。
さっそくその話を木之本財閥の会長に話しに行くと、思っても見なかった答えが返ってきた。