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カーニヴァル~與儀~

第19章 風邪×ハプニング


花礫くんはそれ以上何も話してくれないし、與儀さんは相変わらず抱き締めてるし。
仕方なく編み物を再開した。



(…やりにくい)


腕の上から包れているから、非常に編みにくい。
それに、近いよ。

こんな状態で冷静でいられるほど私はできてない。
なんとか普通の“フリ”をしてる。



(…これって、ただ甘えてるだけなのかな?

それとも…
私に傍にいてほしいとか…思ってくれてるのかな…?

もしそうなら嬉しい…。)



それはつまり、そういうことだから。

そうであればいいと思うのは当たり前なことなのかもしれない。



そんな自惚れたことを考えていた私には、まさかこんなことが起こるなんて…思いもしなかった。


ずっと抱き締めていた右手が離れ、私の右頬に触れた。



「…?」


振り返ろうとしたのとその手に振り向かせられたのは同時だった。




(え…)




ゆっくりと與儀さんの顔が近づいてきて、逃げる暇もなく



唇が重なった。





そのまま與儀さんの全体重がかかってきて、耐えられなくてぐらついた時。
與儀さんの顔が離れて、くたりと首元に顔をうずめた。



「…與、儀…さん…?」



(今、何が…?)



聞こうとして震えながら與儀さんの肩をつかんで離したけど、目をつむってる。

それに、熱い。尋常じゃないくらいに。



「與儀さん…?」


まさかと肩を揺らしたら、力が入ってないのか今度は横に傾きソファに倒れた。



(な…)


「與儀さん…っ!?」

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