第19章 風邪×ハプニング
「どこ行くの?」
「皆の所に…」
「…俺のこと、嫌い?」
「いや、え?」
(なんでそうなるの??)
まるで子犬のような瞳で見つめられ、動けない。
その間にも4人は逃げるように出て行ってしまった。
「…嫌いなんかじゃないですよ。
けど…」
「よかったぁっ!俺、嫌われちゃったのかと思ったよ。」
「わ…っ」
掴まれてた腕を引かれて、與儀さんの隣にお尻がついた。
「…引っ張らないで下さい。」
「えへ、ごめんねっ。
松岡ちゃんが近くにいるの嬉しいなぁっ。」
(か、可愛い…。)
いつも以上の笑顔にその台詞。反則すぎる。
「…分かりましたから、とりあえず安静にして下さいね?」
「うんっ!」
右側で大きな体を左右に揺らしてる。
ときとぎ当たる部分が妙に恥ずかしい。
熱は昨日より高くて酷いのに、そうは見えない。
(大丈夫なのかな…。)
「また汗出てきましたね。拭かないと。」
「ん~。」
昨日のこともあったから、私はタオルを渡すだけ。
だけど、差し出したそれを與儀さんは見つめてる。
「與儀さん?」
「…ねえ、拭いて?」
「え…
ええ!?」
(今、なんて…?)
「はい。」
そう言って與儀さんはバンザイの状態で待っている。
(ええっ!私が與儀さんの体を!?)
「えっ、なっ、え…」
「ほら早くっ!冷えちゃうよ。」
「あぁ…」
(そんなの…ズルいよ…っ。
…ええいっ!)
もうやけだ。
與儀さんの服に手をかけて、バンザイの手から服を脱がせた。
「…っ!」
(す、凄い…
與儀さんの体、凄い引き締まってる…。)
白くて細い体には丁度いい感じに筋肉がついていて、綺麗だと思った。
「…あんまり見られると恥ずかしい。」
「あっ、あっ、ごめんなさい…!」
照れてる與儀さんの体から目をそらす。
(見とれちゃった…恥ずかしいっ!!)
こんな時にこんなことを思ってる自分がどうしようもない。
恐る恐るお腹の当たりを拭いた。
タオル越しだけど、伝わってくる與儀さんの体温と心臓の音。
緊張で押し潰されそうだったけど、なんとか着替えさせることは出来た。
「ありがとうっ。」
「……ぃぇ。」
今私、絶対真っ赤だ。