第19章 風邪×ハプニング
コンコンと扉を叩く。
「與儀さーん、入りますね…?」
返事は聞かず開けて入る。
きっと大きい声は出せないだろうから。
―約束を交わした次の日、ようやく元の部屋へと帰った私といれかわるように與儀さんは風邪を引きました。
「うぅ…」
「よぎ、だいじょうぶ?」
苦しそうに唸る與儀さんを心配そうに覗きこむ无ちゃん。
「ったく、情けねぇな。」
「花礫くんそんな言い方…
ごめんねさい、皆の体調管理をするのは私の仕事なのに…」
「君は怪我をしていたんだから気にすることはない。」
「そうじゃ、悪いのは全部こやつじゃ。
この年にもなって体調管理くらい自分でせい!」
「…ぐすん…」
厳しい大人2人の意見に與儀さんは顔を布団で隠した。
「療師、どうして與儀は病室じゃないんでしょうか?」
「わしも暇じゃないし、可愛ええおなごならともかく…男の世話なんぞしたくないのぉ。
さて、飯でも食いに行こうかの。」
「俺も、仕事があるから。
じゃあな與儀。早く治せよ。」
療師さん、平門さんに続きツクモや花礫くんも出ていこうとする。
「ええっ!皆行っぢゃうのぉ!!?」
「当たりめぇだ。无、うつされる前に行くぞ。」
「うん…?よぎ、はやくげんきになってね!」
「うぅ、无ぢゃん…俺頑張る…っ!!」
何を頑張んだ静かに寝てろ、何てのは聞こえなかったことに。
「松岡、行きましょう?」
「うん…。」
そう言って私も部屋を出たんだけど、やっぱり気になって様子を見にきてしまった。
「與儀さん、おかゆ持ってきましたよ…。」
あまり大きすぎない声で言いながら側に行く。
「ん、あぁ…ありがどう。」
「ごめんなさい、起こしちゃいましたか?」
「んーん、ぢょーどお腹減っでだんだ。」
ベットの脇にお盆を置き、えへへと笑いながら起き上がる與儀さんを手伝う。
(苦しそうだな…。)
微熱といっても、鼻声だし顔が赤くて息も少し辛そう。
「大丈夫ですか…?」
「んー、なんどが…。」
起こすのを手伝っていると服が湿っていて、よく見ると首の辺りに汗をたくさんかいている。
「汗、凄いですね…着替えましょうか。」
「うん…。」