第18章 自覚
「でもね、やっぱり俺は最低だよ…。
八つ当たりしたんだもん…。」
「それは…きっと誰にでもあることですよ。
與儀さんはちゃんと解って反省してるんですから、気にすることなんてありませんよ…?」
真面目に考えて悩んで…
(與儀さんはホントに優しい人だな…。)
「そう、なのかな…?」
それでもまだ眉を下げている與儀さんの手を握る。
少し温かかった。
「そうです。平門さんだって、きっと許してくれますよ。」
(誰であっても許してくれる。
人柄だよね…きっと。)
「…ありがと。俺ちゃんと平門さんにも謝ってくる。」
ようやくいつもの顔に戻ってきて、ホッとした。
「…でも、あんな風に想っててくれたんですね。知りませんでした。」
さっきの話を思いだすと、少し照れてしまう。
「あっ、やっ、あれは…っっ!!えーっと…!!」
與儀さんも照れたみたいで、その慌てようがいつもの與儀さん。
(よかった…。)
やっと見れた、與儀さんの笑顔。
あせあせと頭をかいている姿が、触れあってる部分から伝わってくる熱が本当に嬉しい。
(…それにね。
あんな風に想っててくれたのも嬉しい。)
あんな風に自分のことを想ってくれる人がいたなんて、こんなに幸せなことが他にあるんだろうか。
まだあたふたしてる與儀さんにもう1度、ギュッとしがみつく。
ずっと求めていた安心感。
(ここはやっぱり落ち着くな…。
ねえ、與儀さん?分かりましたよ。
私…
あなたが好きみたいです。
こんなに自分のことを考えてくれる人、好きにならないはずがないよ。
明るくて優しくて…
…大好きです。)