第15章 作戦
(能力者っっ!!!)
いつの日か見た化け物に、思わず足がすくむ。
「おいっ、こっちだ!!」
「あ…」
また花礫くんに引っ張られ慌てて足を動かした時、一瞬だけ與儀さんと目があった気がした。
「はああぁぁ!!!!!」
與儀さんは能力者に向かっていき、目の前で激しい戦いが起こっている。
工場の中からツクモとイヴァさんも出てきて與儀さんの援護にまわる。
「すごい…」
圧倒的に與儀さんが押しているのは一目瞭然。
(見てる場合じゃない…逃げなきゃ…っ!!)
“能力者に遭遇する”という目的は果たしたのだから、後はここから離れて終わるのを待つだけ。
「十夜くん、繋さん、こっち!!」
初めて見る能力者に驚いている2人に声をかけ、その場から走りだす。
花礫くんに先導されその後に続く。
「はっ、はっ…」
「无ちゃん!?大丈夫っ!?」
走っている途中気付けば横にいなかったので振り向くと、後ろの方で无ちゃんが立ち止まっていた。
息を切らして苦しそうに膝に手をついている。
前を見たが車椅子を気にしていて花礫くんは気付いていない。
「待ってて…
えっっ!!?」
慌てて无ちゃんの元へ走りだそうとしたけど、奥の方で能力者が无ちゃんを見たのが見えた。
ニヤリと笑うと高く上に飛び上がり、こちらに向かって飛んできた。
多分だけど、勝てない與儀さん達よりか弱そうな无ちゃんをターゲットに変えたんだと思う。
「无ちゃんっ!!!」
「…?」
急いでまた走りだしたけど、能力者のスピードの方が断然早くて。
「无ちゃん!!!」
素早い動きで與儀さんが慌てて敵を押さえた。
(助かった…)
そう思ったけど、能力者は手から小さな生き物達をたくさんだした。
「な…っ!!?」
自分のすぐ横を通り抜けていった化け物達を見て、與儀さんは慌てて振り返るが間に合わない。
「无ちゃん…っっ!!!」
必死に走った。
(お願い、間に合って…っっっ!!!!!)
「ドルンキステ!!」
與儀さんの叫び声と共に地面からツルのようなものが現れ、小さい化け物達を倒していくが数が多すぎる。
「无ちゃん!!手…っっ!!!」
思いきり手を伸ばし、无ちゃんの手を掴む。
勢いよく引き寄せたのと化け物が无ちゃんに辿り着いたのは同時だった。