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カーニヴァル~與儀~

第15章 作戦


「无ちゃんまで!?2人共危ないよ!!」

訴えるけど聞く様子はなく、ずっと平門さんを見つめている。


「いいだろう。しっかり護れよ?」

「ああ。」

「平門さんっ!?危険すぎます!!」


必死に反対をするけど、平門さんは笑顔で。


「まあそう言うな。花礫も无もお前の助けになりたいんだろう。」

「ぅ…」


そう言われてしまうと断りづらくなる。



(私の助けに、か…。)

それが本当かどうかは分からないけれど、いてくれると気持ち的にも助かるのは事実で。


「大勢いる方がいいだろう、きっと。」

「…分かりました。ありがとう、花礫くん、无ちゃん。」


どこか楽しそうな平門さんを横目に、2人にお礼を言った。







「なあ、アイツに言わなくてよかったワケ?」

花礫くんの声で我に返る。


「あいつ?」

「あの変態金髪だよ。」

「あ、與儀さん?…うん、いいの。」


心配するから與儀さんとツクモには言わないようにと平門さんにも言われていた。


(ごめんなさい…。でも、きっと反対するもんね…。)


「あっそ。」

興味ないという感じで花礫くんは工場を見た。





「ふー……。」

誰にもきこえないくらいに小さく息を吐いた時、ドンという音がすぐ近くで聞こえた。

「っっ!!!」


(きた…っっっ!!)


一気に緊張が走る。


車椅子の取っ手を十夜くんの手がキツく握り締めたのが見えた。

冷や汗が流れるより早く、大きな音と共に目の前に煙が現れた。
どうやら工場の壁が中から突き破られたようだ。

花礫くんに引っ張られて後ろへ下がると、工場の中から人影が飛び出してきた。
その人は工場の中に向かって何かを構えたが、煙が無くなり私達に気付いた。


「えっ、松岡ちゃん…っっ!?」

「與儀さん…。」


煙から現れたのは與儀さんだった。

慌ててこっちへ近づいてくるけど、もちろん状況は解っていないようで。

「なんで!?どうして皆ここに!!??」

「えっと…」

何と答えればいいか迷っていると花礫くんが叫んだ。

「来るぞ…っっ!!」


その声に合わせて、與儀さんは私達を庇うように立ち剣を構えた。

地響きなのか叫び声なのか分からない音が響き、工場の中から何か大きなモノが出てきた。
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