第15章 作戦
2日後。
空が赤く染まりだした頃。
(…使われてない工場…ここでいいんだよね…?)
折りたたまれたメモを見直し、確認する。
(…あとはここで待つだけ…。)
隣にいる十夜くんを見ると、強ばった顔と目があった。
十夜くんの前には、車椅子に乗った繋さんが。
乗るという条件で認められた外出許可。
繋さんもまた、真剣な顔をしている。
「ねえ、まだ?」
そんな空気を破るかのような无ちゃんの声。
「うっせぇ黙ってろ。」
ゴンと无ちゃんの頭を叩く花礫くん。
(この2人、ホントについてきて良かったのかな…?
でも、平門さんが良いって言ったからな…。)
平門さんに話をした時のことを思い出す。
「無茶だっていうのは解ってます!!
でも…お願いしますっっ!!」
病院から戻りすぐに執務室へ行った私は、平門さんに事情を話した。
思いついたことも。
(…絶対にダメって言われるよね…。
危険すぎるって…。)
私の考えた作戦、それは…
繋さんを能力者に遭わせること。
あの時、艇に来て最初に平門さんと話した『能力者に遭ったものは検査をしなければならない』ということを思いだした。
もし繋さんが能力者と遭遇すれば輪《サーカス》に保護され検査される。
そうすれば、燭先生に診てもらえるかもしれないと考えたんだ。
燭先生は凄い方だって平門さんが言ってたから、可能性があるかもと思って。
静かに平門さんの答えを待った。
(怒られるかな…。)
無謀すぎることだって解ってたから、返事が怖かった。
でも答えは意外なもので。
「構わないよ。」
「えっ!!?」
ビックリして間抜けな声をだしてしまった。
「い、いいんですか!?」
「なんだ。反対された方が良かったか?」
「いえっ!…ただ、危険だって怒られるかと…。」
そう言うと、平門さんはフッと笑ってドアの方をチラリと見た。
「まあ、十分に注意は払ってくれれば…
護衛もつくみたいだしな。」
「護衛…?」
不思議に思ってドアの方をみると、ギイッと開いて花礫くんが顔をだした。奥には无ちゃんもいるみたいで。
花礫くんは部屋に入ると真っ直ぐ平門さんに向かった。
「俺も行く。」
「なっ、花礫くんっ!?どうして!!?」
「がれきがいくならおれもいくっ。」