• テキストサイズ

カーニヴァル~與儀~

第14章 タイムリミット


「…どうしたんですか…?」


「………」



無言の2人。



凄く嫌な予感が頭をよぎる。




先に口を開いたのは繋さんだった。


「…昨日のね、検査の結果がでたの…。」




(検査の、結果…。)



嫌な予感が、少しずつ核心へと変わっていく。



「…それでね、さっきお医者さんが来てね…」



続きを聞くのが怖い。
それでも繋さんは、笑顔を作りながら話を続ける。

その姿が痛々しくてとてもじゃないけど見ていられない。




「…あと、半年ですって。」

「…っ!!?」


あまりの衝撃に言葉がでなかった。


壁にもたれている十夜くんの表情は下を向いているので分からないが、体が震えているのが分かる。



「半、年…?
ど、どうして…っ!?こんなに元気なのに…っっ!!」


そんなこと聞かれても答えられないことは解っているが、言わずにはいられない。



「…ホントよ…。こんなに元気なのにね…。

…ここにいる先生じゃ、もう治せないんだって…。」

自分の手のひらを見つめながらポツリとこぼす。



「…俺が、不甲斐ないから…っっ!」

ドン、と壁を叩き、顔を上げた時に泣いているのが見えた。


それを見ているだけで頬を涙がつたう。


「…泣いてくれてるの?
私のためなんかに、泣かなくていいのよ…?」

そう言った繋さんの目にも、涙が溢れている。


思わずベットに駆け寄り、繋さんを抱き締める。


「…っっ。」


触れあった所から伝わってくる温かさは本物なのに、他の人と変わらないのに。


(なんで、繋さんが…っ!?
どうして…っっ!??)


抱き締めたことで糸が切れたのか、震える手で私の肩を掴んできた。


「う…っ、うっ、なん、で…?
なんで私が…っっ?」



部屋に響く繋さんの泣く声。

初めて経験する人の生き死に。
ただ抱き締めることしか出来ない自分がもどかしくて辛くて許せない。


(どうすることも出来ないの?)


自分には何もない。
改めて実感した無力さ。


(目の前に、こんなに辛そうな人がいるのに…

どうしたら…?)



ちっぽけな脳みそを全て働かせる。


(なにか、なにか方法は…)




「あ…」



1つの考えが頭をよぎった。

/ 104ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp