第13章 2人の事情
「あ…でも、與儀さん任務で忙しいから…。
時間がある時くらい、ゆっくり休んだほうがいいでしょう?
私がいたら、休めなさそうだし…。」
そう言うと、十夜くんはさらに呆れた顔をした。
「アンタ全然解ってないな。
どう考えてもあの金髪はアンタに側にいてほしいだろ。
忙しいならなおさら。」
「どうして、そう思うの…?」
当然の様に言う十夜くん。
私にはその理由は見当もつかない。
はああぁぁっとタメ息をつかれた。
(えええっ??解らないよ…。)
「…アイツが可愛そうすぎるな。」
ボソッと呟いた十夜くんにさらに混乱していると、検査を終えた繋さんが入ってきた。
「松岡ちゃんは、與儀さんと一緒にいたくないの?」
「え…私、ですか?」
そうよ、とにっこり微笑まれる。
「…私は、できることなら一緒にいたいですよ。」
(皆と一緒にいたいと思う。
特に與儀さんとは、最近全然会えてなくて寂しいから。)
「でも、忙しいのに無理してほしくないんです。
私なんかのために。」
「あら、そんなの言ってみなきゃ分からないわよ?
彼も一緒にいたいかもしれないじゃない。」
「えぇ~…そうかなぁ…??」
「そうそう!」
私の肩を優しく叩いた繋さんは楽しそうな顔をしていた。
「ね、今日帰ったら言ってみて?
“アナタと一緒にいたい”ってっ。」
(それって、空いた時間にちょっとだけお話しませんか?って意味だよね…??)
「…まあ、言ってみるだけなら?」
「きゃーっ、いいわねっ。明日報告に来てねっっ?」
「はあ…。」
内心、何の報告だろう?と思いながら返事を返した。
松岡が帰った後。
「あーっ、明日がたのしみだわっ。」
「おもちゃにしてやるなよ。
アイツ絶対意味わかってなかったぞ?」
「あら失礼ねっ!おもちゃになんかしてないわ。
可愛い恋を応援しているだけじゃない。」
ニコニコ楽しそうな繋を横目に、十夜は今日何度目かのタメ息。
「本人が自覚してないのに、恋もクソもねぇだろ。
まったく…。」
あの様子じゃあとどれだけの時間がかかるのだろか?
ホントに金髪が可愛そうだ。
そう思ったが、
…久々に楽しそうな繋を見て、少し嬉しいような寂しいような気持ちに十夜はなっていた。