第13章 2人の事情
「気持ちは十分って顔ね。」
「もちろんです。
…繋さんの作ってるのにも、誰かへの気持ちがこもってるんですか?」
「ええ、一応ね。」
「へぇ~っ。
やっぱり、十夜くんですかっ??」
「…そうよ。」
少し照れたような顔を見せる。
(そんな顔まで綺麗だ…っっ。)
なんて思いつつ、繋さんの話を聞く。
「…私達のこと、十夜から聞いてる?」
「えっと、同じ弧児院で育ったんですよね…?」
「そう。
…2人共ね、偶然同じ日の夜に院の前に置かれていたの。」
(同じ日に、同じ場所に?
凄い偶然だな…。)
「それはある月の10日でね。
その日が私達の誕生日になったの。」
「へえ…。」
1つの物語みたいな話。
「…それでね、浅はかかもしれないけど
10日の夜に繋がった2人って意味で、『十夜』と『繋』って院のお母さんが名付けてくれたのよ。」
(それって…)
「凄くロマンチックな話ですね…っっ!!」
なんだか興奮してる。
「ありがとう。十夜は話したがらないけど、私はこの話を聞いた時嬉しかったの。
2人で1つなんだって思えたから。」
「素敵な話…。」
乙女心をくすぐれたみたいにドキドキしてる。
「でね、今月の10日が私達が拾われた日なの。
だからマフラーでも贈ろうかなと思って。」
「2人が繋がった日に…?」
「そう。
…ちょっと子供っぽかったかしら。」
「そんなことないですっ!
その話、凄く素敵です!!
聞いてると温かくなってきました…。」
胸の奥がぽかぽかして、
「優しい気持ちになります。」
そう言うと、繋さんは嬉しそうに、照れくさそうに「ありがとう」って笑った。