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カーニヴァル~與儀~

第12章 寂しい…?


繋さんの教え方は丁寧で優しくて、凄く覚えやすかった。


「お前、何してんの…?」


十夜くんはちょっと嫌な顔をしてたけど、その後は何も言ってこなかった。




夕方。


「じゃあまた来ますね、繋さん。
これ、持って帰ってもいいですか?
まだまだ時間かかりそうなんで、自分の部屋でやろうかと思って。」


「ええ、いいわ。
進めて持ってらっしゃい。」


「はいっ!じゃあまた明日っ。」



すれ違いざま

「もうちょっと待ってね。」

と十夜くんに言い残し、私は病室を出た。



病院の出口にはすでに與儀さんが立っていた。



(もう待ってくれてたんだ…っ。


…あれ?何かあったのかな…?)


壁にもたれたり少し歩いたりと、落ち着かない様子の與儀さん。



「與儀さんっ、お待たせしました…っ。」


「あっ、松岡ちゃん…。」


「どうしたんですか?

…何かありました?」



いつもよりそわそわしている感じがする。



「?何にもないよ…?

さっ、早く帰ろうっ。」


腕を引かれて歩きだす。


(急いでるのかな…?)



あっと立ち止まり後ろを向く。


「お腹減ってるよね?

俺お金渡すの忘れてたから…お昼食べてないでしょ?

何か食べて帰ろうかっ!」


「いえ、お昼は食べましたよ。

十夜くんが用意してくれたんです。」



お昼を忘れたことに気づいたのは朝来てすぐ。

そのことを話したら、十夜くんがパンを買ってきてくれた。


「…駄目ですね、私。
お昼忘れたてゃうなんて。

だから、明日からはおにぎりを作っていくことにしたんです。
十夜くんの分も。」


「え…?明日も行くの…??」



凄く驚いた顔をしてる。



(私何か変なこと言ったかな…?)


「そのつもりなんですけど…

何かまずいですかね…?」


「えっ?いや、まずくはない…よ?

うん、まずくないよね、別に…。」


最後の方は1人でぶつぶつ言っていたので聞こえなかった。





艇に戻り、次の日のおにぎりの準備を。



それから次の日もその次の日も、
私は毎日のように病院に通うようになった。

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