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カーニヴァル~與儀~

第11章 盗人騎士と病室の姫


話しやすいように落ち着いたトーンで問いかける。


「じゃあ、誰が病気なの?」


「…同じ孤児院に居たヤツ…。

…今は入院してるケド…」


「けど…?」


「金がねぇんだ…。
手術をする金が…っっ。」



話をする十夜くんは、凄く苦しそう。



「そう、なんだ…。

それであんなことを?」


「ああ…。」


「嘘なんじゃねぇの?」


「なっ、花礫くんっ?
なんてことを…っ??」


「だって、盗みやってんなら言い訳くらい
いくらでも思いつくだろう。」


「そうかもだけど…」




(…嘘じゃないと思う。)


十夜くんの様子を見ているとそう思う。





(それを証明するには…)



「…病院に行ってみませんか?」




良い提案だと思った。



「病院って、その十夜くんの友達が入院しているっていう?」


「はいっ。そこに行けば嘘じゃないって分かるでしょう?」


「…良いのか?」



十夜くんの目に、微かに光が宿った気がした。



「…駄目ですかね?」



言ってみたものの私の独断じゃ決められない。

與儀さんに決めてもらわないと。



「んーーーーー…


松岡ちゃんがそこまで言うなら…

平門さんには後で言えばいっか…。」


「ありがとうございますっっ。」



お礼を言い、再び十夜くんの前にしゃがむ。


「連れてってくれるよねっ?」


「ぁ…ああっ!こっちだっ!」



初めて見る嬉しそうな顔にホッと一安心して
私達は病院へと向かったのだった。

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